有機栽培の山田錦米の作り手は、滋賀県近江八幡市の垣見農園を営む垣見治夫さん。琵琶湖に面した盆地である近江八幡市は、絶え間ない水資源の恩恵を受ける農作地。周囲を囲む山地から400以上もの河川が豊富なミネラルを蓄えて流れ込み、周囲に肥沃な土壌をもたらしています。さらに、吹き抜ける強い風が害虫の駆除にも一役買っているといい、有機栽培に取り組む農家も少なくありません。そんな中、通常の稲よりも背が高く、風の煽りを受けやすい山田錦を有機農法で育てるのは一筋縄ではいかないのも事実。栽培技術を日々追求し、その息吹を現代に受け継いでいます。
玉乃光酒造では精米も自社で行います。酒米の中心部にある心白を傷つけないように残す「扁平精米」を行うため、とにかく時間がかかります。精米歩合60%以下まで磨くために必要な時間は約1日。品種、生産年度、生産地、生産者、精米時の気候などに合わせて、精米の仕方を変えながら、お米を割らない、汚さない精米にこだわっています。
精米された有機山田錦米を洗浄し、余分なものを取り除きます。その後、水に浸けて水分を吸収させ、米を柔らかくします。この洗米の段階から、使用する水は名水100選にも選ばれるほど良い水として知られる桃山丘陵を水源とする伏流水。
麹化した米と水を混ぜて醪(もろみ)を作り、酵母を加えて発酵させます。この段階でアルコールが生成され、酒のベースが完成します。醪は「添仕込」「仲仕込」「留仕込」という昔ながらの三段仕込みで作られます。常に酸度や温度を調整し、酒の品質を極限まで高めていきます。